卒業研究
工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2019年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。
2019年度・卒業研究
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- つなぎの作業快適性向上に関する研究
- 木村 裕太
- 作業服の一種であるつなぎは、安全性が高い一方で、生地が突っ張るため着心地が悪い。そこで本研究では膝部の突っ張りに着目し、被服圧が高い部分を実験的に明らかにし、その部分の素材を弾力性があるものに変更した。その結果、素材を変更したつなぎは、通常のつなぎと比べて被服圧が軽減し、着心地が改善した。
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- 感情移入に着目した感動喚起のプロセスデザイン
- 宮原 光希
- 本研究では、映像鑑賞者の感動喚起について、映像コンテンツではなく鑑賞者自身の状態に着目した。感動喚起や感情移入に関する先行研究より鑑賞者の映像コンテンツへの関与・知識が深まることにより感情移入が促進され感動喚起を促すのではないか、という仮説を導き、鑑賞者の映像コンテンツへの知識・関与量に着目した比較対照実験を行い、それらと感動喚起の程度との関係について考察を行った。
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- 食事誘発生体熱産生と寒冷誘発生体熱産生の関連
- 杉本 瞭太
- 食事誘発性体熱産生とは、ヒトが食品の摂取後、その食品の温度以上に体温の上昇を誘発する現象のことである。寒冷誘発性体熱産生とはヒトが寒冷時に体温を保つための適応反応である。本研究は、大きな産熱を引き起こすタンパク質に着目し、2つの熱産生の関連性を検討し、また寒冷暴露時の生理反応との関連性を検討した。
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- 時間感覚と筋出力を指標とした夜間断眠時の目的遂行能力
- 河野 寛之
- 現代社会は24時間で活動しており、交代制勤務に従事する労働者は、サーカディアンリズムを無視した不規則な生活や睡眠を強いられている。夜間の勤務中は、認知・作業パフォーマンスが低下するため、ヒューマンエラーから事故につながる可能性がある。本研究では断眠状態での目的遂行能力に関する実験を行った。具体的には、どれだけ正確に時間を数えられるか、またどれだけ指示された値に近い指つまみ力を出せるかを検討した。
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- 地下足袋の分析による現代履物の提案
- 吉尾 輝
- 日本の伝統的な作業靴に地下足袋がある。地下足袋は大工仕事、農作業などで今でも使用されているがそのシーンは限定的である。しかし、地下足袋は機能性・デザインにおいても優れており、より多くの人がその良さを知るべきである。本研究では、地下足袋を様々な側面から分析し、その機能性やデザイン性を落とし込んだ自分にとっての現代履物の提案を目的とする。
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- 大学生のための朝食を豊かにするツールの提案
- 徐 徳恵
- 四面体のおにぎりケースを提案する。朝時間が無い日でも、簡単に作って持ち運び、時間があるときに蓋を持ち手にして食べることができる。形を四面体にすることで、従来のおにぎりと比べて、角が多くて食べやすく、型抜けしやすく、具が沢山入る。食後はマトリョーシカのように重ねて省スペースできる、大小2サイズを展開する。朝食の摂取カロリー量は500kcalを目安とされるため、2つ合わせて500kcal〜750kcalを想定した大きさとした。
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- アーティストのライブTシャツに関する研究
- 吉谷 完太
- アーティストのライブグッズの定番であるライブTシャツ。ライブの記念に購入する人も多い。しかし、その大半をライブ後は使用せずに眠らせたままにしているため、モノとしての価値を失ってしまっている。そこで、本研究ではライブTシャツと人との関係を調査し、よりライブTシャツの価値を上げられるようなモノのデザイン提案を行った。
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- 椅子の座面角度が姿勢に及ぼす影響
- 栗岡 玲
- 近年デスクワークの長時間化が進み、身体への様々な悪影響が問題になっている。その中でも、腰痛は日本人の多くが抱える問題であるため、座位姿勢時の腰部負荷減少を検討することは重要だと考えられる。また、座位姿勢時の腰部負荷は股関節角度の拡大により減少することが報告されている。そこで本研究では座面を前傾させることで股関節角度を拡大する方法に着目し、その際座位姿勢がどう変化するのかを検討した。
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- 脳血流動態を用いた局所温冷刺激に対する温熱的快適性の評価
- 津田 直樹
- 快適感などの快・不快情動に関連して脳の前頭前野が活動することが知られている。しかし、温熱的快適性を脳活動で評価する方法はあまり検討されていない。そこで本研究では、脳活動の観点から局所温冷刺激に対する温熱的快適性の評価を行い、脳血流動態を用いた評価手法の検討を目的とした。脳活動計測には近赤外線によって脳血流動態を可視化する光トポグラフィー装置(NIRS)を用いた。
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- 日々の暮らしに笑顔が増えるデザイン提案
- 富永 由佳
- 現代は多くの人がストレスを抱えて日々生活している。そのため人々にとって、心の支えとなるものが身近に必要と考えた。そこで本研究では、どんな時でも、気軽に立ち寄って1人でくつろいだり、人と会話したりして気持ちが軽くなるようなスペース提案を行った。設置空間としては、人々が毎日のように利用し、気軽に立ち寄ることができる街路とし、そこに4種類のベンチを設置した。
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- スケジュールアプリの予定入力機能改善に関する研究
- 吉野 結衣
- スマートフォンの普及に伴い、アプリでスケジュールを管理する人が増えているが、予定入力における操作性は不十分である。そこで本研究では、様々な予定入力操作のうち、時間入力に着目し、どのような入力方法がもっともよいかについて実験を行った。その結果、時計状に並べたボタンを押す入力方法がもっとも不便さを軽減し、入力時間を短縮した。
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- チョコレートのパッケージデザイン研究
- 岡松 もえ
- チョコレートをよく購入する20代女性は「作業をしながら」チョコレートを食べることが多い。そこで、「20代女性に向けた作業をしながらでも食べやすいチョコレートパッケージ」について研究を行い、3つの新しいチョコレートパッケージを作成した。1つ目が、箱から直接食べることが出来るもの。2つ目が、チョコの角が箱から出ており、個包装が一部分のみのもの。3つ目が、開くとお皿のように変形するものだ。
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- 大学生の読書体験のためのデザイン提案
- 亀井 志野
- 学生の中には読書をしたいと思っているができない人もいる。また、読書が好きで本や作家について共有できる人が欲しいと思っている人も存在する。そこでこの両者をつなぐツールとして本棚と感想カードを提案する。1人用の本棚にオススメの本を収納して食堂などの公共の場所に設置する。そこから自由に本を借りて読むことができ、感想カードを通じて読書仲間を見つけられる。本棚としてオススメ本が集まることで読書の文脈を共有することができる。
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- 入眠期に見られる緩徐眼球運動の特性に関する研究
- 高山 航希
- 近年、日本をはじめとした先進国において多くの人が不眠に悩んでいる。また不眠の中でも入眠に関する障害は多く報告されており、入眠期における生理機能から、入眠について詳しく理解することが必要である。本研究では入眠期における生理機能として緩徐眼球運動(SEM)に着目し、眼球運動と深い関連があるとされる夢見や脳活動との関係からSEMの特性について検討した。
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- 照度の違いが色視力に与える影響の世代比較
- 永田 浩太郎
- 子どもは夜に塾などで勉強をする機会が多く、勉強中は明るい照明が好まれる。しかし子どもは大人よりも瞳孔が大きく水晶体の光透過率が高いため、夜の光の影響を強く受けることが報告されている。これらから適切な明るさの照明環境の提案が重要であると考えた。ここで子どもは大人や高齢者よりも網膜に届く光の量が多いことより、暗い照明環境下でも、より高い視認性や明るさ感を確保している可能性があるため、それを検証した。
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- 視覚障がいの方の生活を彩るデザイン提案
- 森田 夏穂
- タブレットを用いた飲食店のメニューの音声案内である。一般モードと音声案内モードを自由に切り替えられるようにし、視覚障がいの方が健常者からのサポートを受けやすいよう画面レイアウトは一般モードに寄せる。また主要アイコン(モード切り替え/店員を呼ぶ/戻る)には立体シールで印をつける。メニューが15秒程度で簡易的に音声案内で紹介され、気になったメニューはさらに詳しく聞くことができる。
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- コーヒーショップのビジネスとロマンを繋ぐためのWebサービス
- 澤井 敬弘
- 本研究の目的は、「コーヒーショップをオープンしようと考えている人が次のステップに進む為に、背中を押してあげられるような有用なWebサービスを構築すること」である。Webサービス「CoRaB〜CoffeeRomanceandBusiness〜」を提案する。“CoRaB”と書いて“コラボ”と読み、このサービスを通じて様々な“コラボ”が起きることを期待して命名した。
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- グラフィティライターの衝動に内在する社会性に関する研究
- 末吉 進太郎
- 「グラフィティ」は行為者であるグラフィティライターによって構築された社会の表出である。本研究ではグラフィティライターへの非構造化インタビューおよびM-GTA分析を通じて、既存社会の規範を越えてまでも自らの存在を化するグラフィティを街に残すグラフィティライターの衝動に内在する社会性に迫る。
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- 化粧品のケースデザインに関する研究
― 口紅のデザインを例に - 大濵 碧
- 近年化粧品のケースデザインは多様化し、性能以外の主要なアピールポイントとしてより重要視されるようになった。本研究では化粧品の中でも口紅のケースデザインについて現状を把握、メーカーや価格帯ごとの特徴を整理し、造形要素が与える印象への影響について明らかにした。
- 化粧品のケースデザインに関する研究
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- 下肢部への陰圧負荷が循環動態に与える影響
- 中村 大智
- 様々な原因で下肢血流が滞ることにより血栓が生じ、最悪の場合死に至る病に発展するため、下肢血流を促進する研究が重要視されている。箱の中に下半身を入れ気圧を下げる下半身陰圧負荷を応用し、下肢部へ陰圧負荷を与えると、陰圧部の血流が促進し、全身の循環動態に影響を与えると考えられる。しかし、下半身より小さな部位に陰圧負荷を与えた研究はほとんどない。そのため、左足の下肢部へ陰圧負荷を与える実験を行った。
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- 「魔法」から考えるデザインの研究
- 鮫島 麻里伽
- 本研究では、プロダクトデザインの視点から、「魔法」の持つ価値について調査研究を行った。文化、デザイン、科学の3つの視点から人々を惹き付ける「魔法」の価値とは何かを探った。その結果、「植物、光、他者性(無いはずの気配)、変化、浮遊感、物語性、常識の逆転」を魔法のデザインに必要な要件として導き出した。この要件をもとに、光と水と土の関係が自然と逆になっているフロアスタンド照明「Irodim」を提案した。
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- 映画鑑賞後の感動共有プラットフォームの提案
- 高田 佑亮
- 現在コンテンツ消費の状況が大きく変化している。映画の視聴方法は動画配信サービスでの鑑賞が最も増加しており、様々な場所や時間帯で映画の鑑賞を楽しむ人が増えている。映画の個人鑑賞が進むにつれて、鑑賞後にその作品の感想について周りの人と会話して感想を共有することが難しくなっている。そこで本研究では作品鑑賞後に作品を鑑賞した第三者と会話を楽しめるプラットフォームの提案を目的とする。
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- 未来を考えるための歴史学習を促進する教材の提案
- 阿部 崇央
- 本研究では歴史が苦手になる原因をテキスト上の短所や生徒の意識にあると考え、歴史を学びやすくする教材をデザインした。歴史上の関係性を把握し将来へ活用させるため、出来事と内容が書かれたカードを並べることでつながりを分かりやすくする仕組みである。将来につながる5つのテーマを設定し歴史の流れを考えさせることで、生徒が未来志向としての歴史を学べることがポイントである。
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- レジ無しスーパーにおける買い物バッグの提案
- 久松 史佳
- 近年、世界ではレジなし店舗が普及し始めていることから、今後日本においてもレジなしスーパーが普及していくことが考えられる。レジなしスーパーでは買い物客は各自バッグを持参し、それに商品を詰め、そのまま持ち帰ることになる。そこで本研究では、“持ち運びやすさ”、“商品の入れやすさ”、“動きやすさ”、“商品を安全に持ち帰られること”の4要件を中心に、レジなしスーパーでの買い物に適したバッグの提案を行った。
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- 把手角度と荷物幅が持ち上げ動作時の腰部負荷へ与える影響
- 須賀 雄次郎
- 腰痛対策として、荷物を床から持ち上げる際は腰を降ろし、スクワット動作で持ち上げることが推奨されている。この対策の問題として、荷物幅が広い場合に腰の負荷を軽減出来ない点が挙げられる。荷物幅が広い場合でも,把手角度を傾けることで腰の負荷が軽減される可能性がある。そこで本研究では、スクワット動作での荷物持ち上げにおいて把手角度と荷物幅が腰部負荷へ与える影響を明らかにすることを目的とした。
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- 筆による音楽表現と身体の動きに着目した電子楽器インターフェースの提案
- 木尾 優馬
- 現在、流通している電子楽器の多くは音響技術が先行して開発されており、演奏には音楽や音響的な知識、高い技術が必要である。音楽や楽器演奏の経験がない人でも簡単に高度な音楽表現を行うには、人間の音楽表現と身体動作の関係をもとに楽器開発をする必要がある。本研究は日本人に慣れ親しんだ「筆」を使った音楽表現と身体動作の関係についての調査を行い電子楽器の提案を行った。
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- 佐賀市内での商店街での新たな居場所づくりに関する研究
- 鶴 菜々子
- 近年、多くの地方都市において中心商店街の衰退・停滞が指摘されている。佐賀市の白山名店街もそのような商店街の一つである。過疎化した商店街に今までとは異なる役割を与えることで、商店街を居場所とする新たなコミュニケーションが生まれるのではないかと考え、商店街が人々の新しい居場所として機能するための提案を行った。
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- インフォグラフィックス作成のためのリコメンドシステムの開発
- 飯田 実
- 近年、情報を伝える手法としてインフォグラフィックスに対する需要が高まってきている。一方で作成する際はデザイナーの手腕に頼る部分が多く、情報の最適な表現方法を示す指標がないのが現状である。本研究ではその点に着目し、デザイナーではない人でも検索用ラベルを選択することで関連性の高い作成済みのインフォグラフィクスを観覧し、デザインの参考にできるデザインリコメンドシステムを開発した。
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- 小学校における新教科「表現」の設計
- 大石 碧
- 現在の日本の図画工作教育には、海外と比較して理論に欠けている、戦後に基盤ができてから変化がないなど様々な問題がある。そこで、表現の教育の新しい形を提案することを目的とし、小学校における新教科「表現」を設計した。学習指導要領、時数、日課表、指導計画などの具体的なプログラムから設計し、学習指導要領表現編、通知表、教科書を制作した。さらに、設計した授業をワークショップという形式で検証した。
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- ⾃⼰認識を補助するための執筆ツールのデザイン提案
- 松村 将太
- 「書く」という行為に着目し、自己認識の手段としての執筆についての調査を行った。その中から、執筆における「言語化」と「反省」のそれぞれの課題を定義し、「言語化をサポートし、蓄積して振り返れる執筆システム」をコンセプトとした。最終提案としては、言語化をサポートするために表情が印刷された用紙と、それらを安全に蓄積・保存し振り返るためのボックスを提案した。
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- 日中の覚醒水準と表情模倣の関係
- 岩山 俊裕
- 多くの顔特徴が睡眠不足の影響を受けることが明らかにされつつある。眠気が表情表出に影響を与えることから、自動的な表情表出のひとつである表情模倣も眠気の影響を受ける可能性がある。表情模倣が眠気の影響を受けるのであれば、自己の表情表出の変化を介して他者感情の理解に支障をきたし、コミュニケーションにも影響を及ぼす可能性も考えられる。そこで本研究では、日中の覚醒水準と表情模倣の関係について検討した。
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- さわる体験価値を活かしたお皿のデザイン研究
- 萱原 実里
- 本研究では、視覚に障がいのある⼈もない⼈も共に⾷を楽しめるデザイン提案を目的とした。視覚に障がいのある人の調理・⾷事の観察から、意外にも包丁を使う動作ではなく、お皿への取り分けが⼤変であることが分かった。それは、お⽫では触って料理が確認できないことが要因であると考えた。触覚を活かすことで自立して取り分けの課題を解決し、さらに視覚に障がいのある⼈もない⼈も共に⾷を楽しめるお⽫のデザインを提案した。
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- アイドルによるライブの体験についてのデザイン研究
- 土肥 真維華
- アイドルのライブにおいて、ステージから遠い後方席は最前列と比べて体験価値が低く、不平等性がある。そこで本研究では、来場者体験について調査し、来場者が大切に感じる価値として「会う」感覚が重要であることを導き出した。その結果、後方席の人でも楽しむことができるシステムとして、アイドルの視線が向いた時とファンの心拍数が高いライブの瞬間を記録し、指輪と音でメモリーとして残せる「ウィズ」を提案した。
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- ちきりの形状と締結の力学的特性に関する研究
- 古口 悟
- ちきりとは2つの木材板の相対的な位置の固定を目的として用いる締結用木材片である。本研究では測定実験とシミュレーションを通して締結におけるちきりの性能を評価する。そしてその結果から締結特性を左右する要素を抽出し、それらをコントロールすることで、より優れた締結特性をもつちきりを開発する。
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- 社会課題としての肥満のデザイン研究
- 岡 希瞳
- SDGsなど、社会の潮流は、企業に地球規模での環境や社会を念頭にしたビジネスを促す方向に向きつつある。しかし、そのような動きはまだ始まったばかりであり、その中でよりよく社会デザインと、企業デザインの両者がうまく連動する社会へのアプローチをデザインの方向から考えていきたい。そこで、本研究では社会をよりよくできるデザインアプローチがあるのではないかと考え、社会課題を解決する新たなデザインアプローチについて研究を行う。そこで、これからの社会ビジョンを共有するデザインを社会課題としての肥満のデザインをケーススタディーとして提案する。社会としては、社会課題を可視化するインスタレーションの提案とし、新たにパブリックインスタレーション(PI)と名付ける。また運営母体としては、今回、行政が計画・運営する場のデザインとする。
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- 域外在住者のシビックプライド形成プロセス
― 関係人口の視点から - 越本 匡哉
- 地域創生の文脈から「関係人口」が注目されている。本研究では在住者とは異なり、物理的に地域から離れている人々と当該地域を繋ぐ関係性として「シビックプライド」に着目した。在住者と域外在住者、出身者と非出身者、年代別のシビックプライドの傾向を把握し、関係人口への適切な働きかけについて提案を行った。
- 域外在住者のシビックプライド形成プロセス
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- 表情筋筋電図解析による社会的関係性把握の試み
- 垣内 沙耶
- 本研究では、社会を人と人の関係性の織り重なりと捉え、通常可視化されない人と人の関係性の捕捉に取り組むことを通じて「関係性」のメカニズムの探求、ひいてはソーシャルデザイン方法論構築への寄与を目指した。本研究では、関係性の変遷を体験できるゲームをプレイ中のペアの表情筋(皺眉筋・大頬骨筋)を計測し、表情筋筋電図によるペア感の捕捉を試みた。
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- 造形方法の構築とiPhoneのデザインへの適用
- 疋田 睦
- 主観的イメージの造形手段を体系的に整理し、造形方法を構築することを目的とし、その最終成果として、「未来的なiPhone」の造形を行った。「未来的」なイメージは複雑かつ不明瞭であり、形に反映させることは難しい。そのため、比較的理解が容易な「速い」イメージの作成を通し、新たな造形方法を構築した。その方法を用い未来的形状の造形を行い、表出した言語を適用することで「未来的なiPhone」をデザインした。
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- まちおこしの観点から見た「聖地巡礼」を引き起こすアニメに関する研究
- 多久 理彩
- 「アニメ聖地巡礼」からまちおこしにまで発展している事例が注目されている。本研究では、アニメに興味のある者を対象としたヒアリング調査から魅力要素を抽出し、50作品をサンプルとして魅力要素との関係について数量化理論Ⅲ類を用いて分析し4タイプを導出した。また、25作品をサンプルとして魅力要素と聖地への観光客の増加率との関係について数量化理論I類を用いて分析し、増加率の向上に寄与する魅力要素を明らかにした。
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- 蔵開きにおける情報伝達のデザイン提案
- 豊田 真央
- 本研究では蔵開きにおける少ない従業員から酔う来場者へ、円滑に「酒の味」という情報を伝達するために、日本酒の味を形状で表した「マス」と「のれん」を提案する。試飲コーナーに並んでいるときに「のれん」を、試飲しているときに「マス」を通して日本酒の味の情報を得る。また、さまざまな日本酒を飲み比べながら、気に入った酒のマスを手元に残し、一方のマスを返却することで、最後まで手元に残ったマスによって自分の好みを認識することができるのではないかと推測される。
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- 筑前町の関係人口創出・拡大に向けてのデザイン研究
- 岡村 怜弥
- 本研究では福岡県朝倉郡筑前町において「関係人口」を創出・拡大する目的で、筑前町小学生わらかがしコンペの提案を行った。小学生が町の大人の協力のもとわらかがしを製作し、その中で1番ふさわしい作品を町の大人が巨大わらかがしとして製作を行うことで、地元小学生と町の取り組みや町の人々との関わりを深くすることができ、他地域へ移り住んでも将来町に貢献してくれる「関係人口」が創出・拡大できると考えた。
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- 客観的生理指標を用いた入眠時心像の推定に関する研究
- 鬼丸 雅史
- 入眠期には、夢のような現象である入眠時心像という現象がみられる。しかし、その発生メカニズムについては詳しくはわかっていない。したがって本研究では、入眠時心像を体験した本人の報告と体験時の生理反応から、機械学習技術によって入眠時心像の発生の有無を推定するアルゴリズムを構築することを目的とし、推定に影響を与える脳・身体生理指標を調査することにより、入眠時心像の基礎的な知見になると考える。
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- メラトニン受容体の遺伝子多型と夜勤時の光の生体影響との関連
- 佐藤 燦斗
- 24時間社会となった現代では、夜勤は必要不可欠なものである。しかし夜間の光は概日リズムを後退させ、心身に様々な悪影響を及ぼす。影響の程度には個人差が存在し、夜勤従事者の健康維持と事故防止を実現するためには個人差を考慮する必要がある。本研究では模擬的夜勤を行い、個人差としてメラトニン受容体遺伝子近傍(rs12506228)の一塩基多型と夜勤による概日リズムの位相後退量、夜勤中の主観やパフォーマンスとの関連を調査した。
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- シェアリングサービスの安全性に関する研究
- 池田 有輝
- 本研究では、シェアリングサービスでの個人間取引について、4つの対象・73個の事例を対象として、提供者と受給者のそれぞれについて必要とされる個人情報から分析・考察するとともに、より安全なシェアリングサービスを提供するために必要な要件を明らかにした。
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- 大学生の地元に対する愛着を促進させる情報誌デザイン研究
― 北九州市を事例に - 上妻 寛典
- 情報誌『shisei』は大学生の地元に対する愛着を促進させる情報誌制作を目的として制作したものである。shiseiとは市井=街という意味からつけた名前である。case.1として北九州市を事例に制作を行った。大学生の関心調査を元に、本誌では北九州独自の食文化と他の地域にはない魅力、北九州から全国に発信するアーティストの存在を取り上げた。
- 大学生の地元に対する愛着を促進させる情報誌デザイン研究
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- カタカナをグラフィティで表現するデザイン研究
- 関野 聡
- 本研究では、カタカナをグラフィティらしく表現し、それを一つのフォントとして利用可能にすることを目的とする。既存のアルファベットで描かれたグラフィティを観察し、得られた特徴をカタカナに応用することでカタカナグラフィティのアイデア検討を行った。また、カタカナの形状の複雑さによる問題点に着目し、カタカナグラフィティ製作の際の要件を新たに考え、最終的なデザイン提案を行った。