九州大学 芸術工学部 工業設計学科 KYUSHU UNIVERSITY SCHOOL OF DESIGN DEPARTMENT OF INDUSTRIAL DESIGN

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卒業研究

工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2015年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。

2015年度・卒業研究

  • 道の駅利用者と地域資源をつなぎ合わせる道の駅のデザイン提案
    岩本 奈芳
    道の駅は、道路利用者へのサービス提供とともに、地域の個性を創出する重要な拠点です。そこで、道の駅の空間に関する研究により道の駅に必要な機能や要素を抽出し、道の駅くるめをケースにデザイン提案を行うことを目的としました。調査を踏まえ、周辺の自然豊富な土地の特性を活かすこと・新たな地域連携機能を取り入れ個性を創出すること・地域の魅力を効果的に伝えることに配慮し、休憩スペースとイベントを提案しました。
  • 魔法少女アニメーションに登場する魔法アイテムの造形に関する研究
    加峯 まりえ
    2016年、魔法少女アニメーションは60周年を迎えます。現実のプロダクトにはない独特の形状に進化した魔法少女のアイテムの造形の変化を検証し、魔法アイテムのデザイン要素を抽出しました。それらの要素を応用することで、現実世界の「変身ステッキ」であるヘアアイロンをデザインしました。
  • 頭蓋骨ハンズオンモデルスタンドのデザイン
    河田 尚子
    本研究では、3Dモデリングの医学利用を対象に頭蓋骨モデルのスタンドをデザインした。自然物である頭蓋骨の表面にフィットする支持面をモデリングし、スタンドのアイデア展開からプロトタイプ製作、評価までの一連の過程を経験した。この中で、頭蓋骨モデルを「取る・置く」ときの動作に適したスタンド形状を提案するために、デザインエンジニアリングを活用し、ユーザーリクアイアメントを製品に反映させた。
  • 駅構内における自動改札機のデザイン研究
    河野 圭紀
    自動改札機は駅を利用するほとんどの人が使用するものです。近年、ICカードの普及も広がり、利便性が高まるとともにさらなる発展が期待されています。しかし、改札の通過に失敗して困った経験をしたことが誰しもあるかと思います。本研究では、現在の自動改札機をユーザーの行動と機器の特性から調査し、抽出された問題を解決する新たなICカード専用自動改札機を提案しました。
  • 大喜利的思考の研究とその発想支援ツールとしてのデザインへの応用
    齋藤 美穂
    大喜利は司会者の投げかける問いに対して、解答者がひねりの効いた答えを返すことで笑いを誘う演芸である。大喜利の解答を思考する際の大喜利的思考をデザイン領域のアイデア発想に応用するすることが本研究の目的である。提案した発想支援ツールではデザイン対象(ターゲット)に対して記憶・知識を想起・未想起、および、理解可・理解不可に整理した上で、大喜利の問い作りと解答を行う。
  • 味覚を感じさせるための造形に関する研究
    眞田 賢一
    人は、食べ物を口に入れずとも目で見ただけで、それがどんな味がするものなのか想像することができます。そうした「見た目から味を感じさせる表現」を造形に取り入れることで、「かっこいい」、「かわいい」などとは違った新たな造形表現が可能になると考えました。味覚の基本要素である「甘味」、「酸味」、「苦味」、「塩味」、「旨味」の5つについて造形の要件を明らかにして、それぞれの味を表すペットボトルを作成しました。
  • 軟膏を背中に塗る道具の形状についての検討
    中尾 瑞歩
    代表的な外用薬として軟膏は広く用いられています。しかし、肩関節可動域の減少といった身体運動機能低下により、軟膏を自分で背中に塗ることができないという問題が生じることが多いです。この問題の解決策に軟膏を背中に塗る道具があります。本研究では、肩関節可動域と道具の曲げ角度(ヘッド部と持ち手とがなす角度)に着目し、背中に手が届かない人でも身体への負担が少なく適切な処置が行える道具の検討を行いました。
  • 夜の光環境が大人と子どもの眠気に及ぼす影響
    西村 佳菜
    近年では24時間型社会により、子どもの睡眠不足や夜型化の問題が指摘されています。光には覚醒作用があることから、原因のひとつとして就寝前の光曝露が関係している可能性があります。また、光に対する感受性の高さは覚醒作用に影響し、光の感受性が高いとされる子どもは大人よりも夜の光曝露によって眠気が抑制されていると考えられます。本研究では、異なる色温度の照明で大人と子どもの眠気に違いがあるか検証しました。
  • 学生と地域との共働によるまちづくりのためのしくみの提案
    西村 愛望
    行政や住民、大学や企業が一体となってまちづくりをすることが求められています。その中で、大学生が地域と共働でまちづくりを始められるしくみの提案を行いました。大学生に地域を知ってもらうための授業プログラム、継続的な地域とのかかわりを保つために既存のサークルを活かした地域コラボの企画、地域の人と学生をつなぐ仲介役を組織すること、大学内にコミュニティの核となる場所を設置することを提案の4つの柱としています。
  • リズミカルなパッティング刺激が児に及ぼす影響
    見上 誠
    核家族化が急速に進み、母親の育児負担・育児ストレスが問題となっています。本研究では、育児支援のためのプロダクトに有用な機能を探求するために、トントンと呼ばれるパッティング刺激が児に与える影響に関する調査・実験を行いました。実験の結果、啼泣する児は刺激によりすぐに泣き止みました。今後はさらに実験を重ね、刺激による児の鎮静効果を科学的に明らかにしていきます。
  • 都市における多宗教公共礼拝空間に関するデザイン研究
    森田 健太郎
    ムスリム訪日客の増加に伴い、空港などに宗教を問わずに利用できる祈祷室の設置が進んでいます。そこで、将来的に公共的な礼拝空間が都市の中心部に設けられることを想定し、様々な宗教者へのインタビュー調査や既存の宗教施設と礼拝用具の分析を行いました。結果、個人的な礼拝・瞑想行為と五感と通した体験の共有を重視した「個を見つめ、他者を知る」ための宗教施設を提案し、空間とプログラムのモデルと具体例を設計しました。