卒業研究
工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2014年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。
2014年度・卒業研究
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- 心的回転課題の練習効果とその性差について
- 伊東 奈菜
- 心的回転課題を繰り返し練習させ、練習前後での課題成績の性差を比較しました。本研究の結果、練習前の課題成績には性差が確認されなかったものの、練習後の成績に性差が確認されました。これより、練習を繰り返し行わせ各個人の成績をできる限り向上させた場合でも心的回転能力に性差が示され、成人男女の空間認知能力には潜在的な性差が存在する可能性が示唆されました。
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- 観光バスのデザイン研究
- 施 蘢軒
- 近年、国内観光が徐々に人気になり、日帰り旅行を選択する人が多くなってきました。しかしながら、大人数が参加するため、すべての参加者を満足させることは難しいです。そこで、本研究では日帰りツアーの重要な移動手段となるバスに着目し、より快適な観光バスのデザイン研究を行いました。日帰り観光の興奮感を増加させ、プライベートな空間を重視し、快適に移動できるバス空間を作り出しました。
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- 若年者と高齢者の運動学習に伴う筋電図表出の違い
- 立野 謙太
- 筋を動かす信号は脳から発せられています。つまり筋電図は脳活動を読み取る手段のひとつです。本研究では運動学習による筋電図の変化に着目し、運動学習時の筋電図表出に関する加齢の影響を検証しました。その結果、高齢者は若年者と同様に運動パフォーマンスを向上させたにもかかわらず、運動学習時に観察される筋活動抑制がみられませんでした。このことから、加齢に伴って運動学習時の筋活動抑制指令が上手く機能しなくなることが示唆されました。
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- 発達障がい児のための食事の自立補助ツールの提案
- 濱平 悠介
- 発達障がいをもつ子の中には、強いこだわりからくる極端な偏食をしてしまう子や、何らかのトラウマによって食事自体を拒絶してしまう子等がいるようです。実際に私が子ども発達支援施設へ赴いた際、発達障がいをもつ子が直面している食事に関する課題をいくつか把握することができました。そこで私がフォーカスしたのは、『食事の見通しを立てること』についてでした。この提案は、物事の見通しを立たせるための『絵カード』というツールを、食事用のトレーに応用して課題解決を図ったものです。
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- 高齢者介護に向けた移乗支援器具の提案
- 福井 勝一
- 今後の介護は、高齢者が自宅で高齢者を介護するという形態になります。介護の中でも、移乗動作は特に負担の大きい作業であり、その負担を訪問介護等の公的サービスではなく、モノで簡便に軽減することを目的とした製品の研究を行いました。調査を踏まえ、「高齢者同士が起き上がりから移乗までを支援するツール」というコンセプトを設定し、プロトタイピングを行いました。結果、単純な動作で、少ない力でも支援可能な製品を提案しました。
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- 宗像大社の認知度向上のためのコンテンツデザイン
- 卍山下 綾菜
- 宗像大社は「宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界遺産暫定リストに登録されています。しかし、広報に関してはまだ問題点があるため、認知度は低い。本研究では広報戦略を行う際のツールとしてインフォグラフィックスを作成しました。これにより広報に必要な要素を視覚的に捉えることができます。
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- 予防医療を身近にする体組成計のデザイン提案
- 溝部 洋平
- aidはコミュニケーションを生む体組成計です。これまでの体組成計は1人で測定していましたが、aidは複数人で一緒に測定します。みんなで楽しみながら結果を比較して、お互いの悪い習慣に気づき、みんなで健康づくりを変えていく、そのお手伝いをするのがaidです。できるだけ生活に接して健康づくりを支えていく、きっかけづくりをしていきます。
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- 林野火災における消火活動のデザイン研究
- 三舛 悦人
- 日本における林野火災の消火活動に着目し、文献調査から、消火活動に用いられる、ヘリコプターを含めたモノや人と、それらが果たすべき役割の関係において、効率性や多様性の点で問題を発見しました。そこで、モジュール化のアプローチにより、消火活動の各段階における問題解決のための、各機関を連関させる統合的なシステムを提案しました。更にそのシステムに合理的に対応させるための「偵察」「飛行」「救助」「運搬」「水利」「放水」「管理」の7つのモジュールを提案しました。
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- LOVE DESIGN PROJECT
- 山下 創平
- 性課題の山積する日本では、学校でも、家庭でも性教育を受ける機会が乏しい。そうした背景には「性=はしたない」といった性をタブー視する国民意識が存在します。そこで性に対しきちんと向き合い、考え、楽しく語り合うことで、性に対する壁を取り除くことを目的とした部活「ラ部」のデザイン提案、活動、検証を行いました。